1960年代、反骨の精神が生んだブライトリング「トップタイム」シリーズ。その復刻モデルB01 トライアンフ AB01764A1C1A1は、伝説的オートバイブランドとの共演で、スピードと自由の美学を結晶化した。クリーム色のダイアルに刻まれた「スクウェアクロス」模様は、1960年代のバイクスピードメーターを彷彿とさせ、赤い計測針が時計史に新たな軌跡を描く。
本作の真髄は「叛逆のシンメトリー」にある。サブダイアルの配置は、ブライトリング初の非対称デザインを採用。3時位置の30分積算計と9時位置の小秒針が、オートバイのダブルエキゾーストパイプのように対峙する。ベゼルに刻まれた「トライアンフ」ロゴは、1960年代のオリジナルフォントを再現し、レトロモダニズムの極致を体現する。
心臓部の自社製キャリバーB01は、コラムホイールと縦型クラッチを搭載したクロノグラフの金字塔。70時間のパワーリザーブを維持しつつ、1/4秒単位の計測精度を実現する。サファイアクリスタル裏蓋から覗く赤いローターは、オートバイのピストン運動を想起させ、機械の鼓動を視覚化する。
特筆すべきは「光の戯れ」だ。スーパールミノバ塗装を施したインデックスは、暗闇でバイクのヘッドライトのような青白い輝きを放つ。クロコダイルレザーストラップにプリントされたレーシングチェッカーフラッグは、速度への飽くなき渇望を象徴する。
この時計が真に革新なのは「スピードの哲学」を超えた点にある。1965年、当時の広告が「医師もパイロットも、時速150マイルの生き方を知っている」と謳ったように、トップタイムは常識を破る者たちの勲章だった。現代版は、デジタル時代にアナログの熱量を投げつける叛逆の時計——それは単なる計測機器ではなく、自由を刻む「鋼鉄の詩」なのである。 |